裁判(相続)|相続関係事件において提出を求める戸籍の範囲
■申立人が被相続人の相続人であることが確認できればよい場合 【相続放棄・期間伸長事件】 1.申述人又は申立人(以下「申立人」という)が第1順位の場合 @ 被相続人の死亡時の戸籍 A 申立人の現在の戸籍 B 上記@とAの申立人の生年月日、両親の記載等を対比して、申立人と被相続人の親子関係が明らかでないときは、両者が同籍している戸籍 2.申立人が第2順位の場合 @ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 *被相続人の出生からの戸籍を提出する場合、被相続人が13歳以前の戸籍は省略可能(この取扱いは以下同様) A 第1順位の相続人の戸籍(死亡している場合は除籍等) B 申立人の現在の戸籍 3.申立人が第3順位の場合 @ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 A 第1順位の相続人の戸籍(死亡している場合は除籍等) B 被相続人の直系尊属の戸籍(死亡している場合は除籍等) *被相続人の直系尊属の戸籍を提出する場合 ・被相続人の親が生存していると仮定して96歳以上であるときは、その親のさらに親の戸籍提出は省略可 ・被相続人の親が生存していると仮定して87歳以上であるときは、その親のさらに親の死亡の事実を記載した電話聴取書等で処理可能。 この場合、当該親の死亡の事実、年月日、経緯、情報源等について聴取する(この取扱は以下同様) C 申立人の現在の戸籍 4.代襲相続があった場合 @ 被代襲相続人の死亡時の戸籍 A 代襲相続人の現在の戸籍 B 上記@とAの代襲相続人の生年月日、両親の記載等を対比して、代襲相続人と被代襲相続人の親子関係が明らかでないときは、両社が同籍している戸籍 ■被相続人の全相続人を確認する必要がある場合 【限定承認・遺言書検認・遺産分割事件】 1.相続人が第1順位の場合 @ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 A 相続人の現在の戸籍 2.相続人が第2順位の場合 @ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 A 第1順位の相続人の戸籍(死亡している場合は除籍等) B 相続人の現在の戸籍 3.相続人が第3順位の場合 @ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 A 第1順位の相続人の戸籍(死亡している場合は除籍等) B 第2順位の相続人の戸籍(死亡している場合は除籍等) C 被相続人の実父母・養父母の出生から死亡までの連続した戸籍 D 相続人の現在の戸籍 4.代襲相続があった場合 @ 被代襲相続人の出生から死亡までの連続した戸籍 A 代襲相続人の現在の戸籍 ※ 再転相続の場合:再転相続の被相続人、相続人につき上記の基準による ※ 前件戸籍の参照:前件で提出済の戸籍は、重ねて提出することを要しない ■登記先例 S55/2/14民三第867号・民事局第三課長回答 (照会) 昭和44年3月3日民事甲第373号民事局長回答の先例集追X76頁に対し、 1.除籍簿の廃棄により相続人不明(廃棄されていない除籍簿に二女から記載されており、長女の存在が推定されるが一切戸籍上不明)の場合、「廃棄処分により除籍謄本を添付できない」旨の市町村長の証明書以外に、寺の過去帳により寺より長女が10歳未満でなくなった旨の証明書があれば、他に相続人はない旨の相続人全員の証明書は必要ないのではないか、相続人全員の証明書が取れない場合が多い。 2.相続人全員の証明書を必要とする場合、持分なきことの証明を出している者からも他に相続人なき旨の証明をもらう必要があるか。 3.相続人の証明書は必ず印鑑証明書を添付する必要があるか。 (回答) 1.過去帳に基づく寺の証明書により、相続人たる長女が死亡し、かつ、その者に子がなかったことを認定することができる場合には、相続人の証明書の提出を要しないものと考えます。なお、相続人において他に相続人がいないことを証明する場合には、相続人全員によるその旨の証明書の提出を要するものと考えます。 2、3についてはいずれも必要と考えます ■相続放棄手続に必要な戸籍の範囲 仙台家裁HP掲載分 |